【第2回】クンダリニーの目覚め:垂直上昇がもたらす悟りへの道
前回、私たちの体には頭頂に「シヴァ(意識)」、基底部に「シャクティ(エネルギー)」が別れて存在しているとお伝えしました。今回は、そのエネルギーが目覚め、シヴァと統合されるまでのダイナミックなプロセスについて解説します。
1. クンダリニーの覚醒:眠れる蛇が起きるとき
脊椎の基底部に眠っている「クンダリニー(シャクティ)」を呼び覚ますのが、ヨガの実践です。 正しい坐法(アーサナ)、呼吸法(プラーナーヤーマ)、そして印(ムドラー)といった行法を繰り返すことで、体内にあるエネルギーの通り道「ナディー」が浄化されます。通り道がきれいになることで、ようやく眠っていたエネルギーが動き出す準備が整います。
2. スシュムナー管を昇る「垂直の旅」
目覚めたクンダリニーは、背骨の中央を通る「スシュムナー」という最も重要な気道を、垂直方向に上昇し始めます。 上昇の過程には、主要なエネルギーセンターである「チャクラ」が位置しています。クンダリニーはこれらを一つひとつ貫き、浄化し、開花させていきます。チャクラが開花するたびに、修行者は自身の意識がより高い次元へと変化していくのを実感すると言われています。

3. シヴァとシャクティの結婚:解脱の瞬間
クンダリニー(シャクティ)が最終目的地である頭頂(サハスラーラ)に到達したとき、そこで静かに待っていたシヴァ神と「再会」を果たします。 タントラ・ヨガにおいて、この二つの原理が一つに溶け合うことは「シヴァとシャクティの結婚」とも表現されます。
この瞬間、自分と世界の境界線が消え、深い三摩地(サマーディ)や解脱といった悟りの境地に至ります。二元性を超え、宇宙と自分が一つであるという絶対的な確信を得るのです。
4. 修行の課題:横方向からの力
ただし、この上昇のプロセスは決して平坦ではありません。
垂直に昇ろうとする力に対して、過去の行い(カルマ)や外的な邪気、あるいは自分の中の恐れといった「横方向からの妨害」が生じることがあります。
こうした困難を一つずつ克服し、エネルギーを正しく導くことがヨガの修練そのものです。
こうした高いエネルギー状態へ向かうための「浄化の火」こそが、次回お話しする「タパス(苦行)」という概念に繋がっていきます。