「読むヨガ」コラム:タパス(苦行) ―― 魂を磨く「内なる熱」
ヨガの規律「ニヤマ」の一つであるタパス。
日本語では「苦行」と訳されますが、その本質は自分を痛めつけることではなく、自分を純粋な状態へと導く「熱エネルギー」にあります。

「Tap(熱)」による不純物の蒸留
タパスの語源はサンスクリット語の「Tap(熱する)」。
例えば、金鉱石を強い熱で熱することで純金が取り出されるように、人もまた、規律ある情熱という「熱」を通ることで、心身にこびりついた執着や怠惰、思い込み(タマス:鈍質)を焼き払い、本来の輝きである「サットヴァ(純質)」へと近づくことができるといわれます。
「不快」を「変容」の種にする
タパスの実践において最も学術的に重要なのは、「不快感」に対する向き合い方です。 「やりたくない」「楽をしたい」というエゴの抵抗に直面したとき、そこから逃げ出さずに、一歩引いた視点でその葛藤を見つめ(観照、これはとても大切)、自分を律する。このプロセスで生まれる精神的な摩擦熱こそが、私たちの「意志の力」を鍛え、感覚器官を研ぎ澄ませてくれます。
エゴの「馬車馬」から、魂の「情熱」へ
結果への執着から自分を追い込むのは、自分を削る「激動(ラジャス)」の動きです。 対してタパスは、自分をより良く整えたい、誰かの役に立ちたいという純粋な願いに基づいた「志」です。 サントーシャ(知足)という自己肯定の土台があるからこそ、タパスは自分を壊す刃ではなく、自分を輝かせるための「心地よい熱」になります。
他者のための情熱
あなたが今、何かに向かってコツコツと積み上げている努力。 それはあなたを削っているのではなく、不要なものを削ぎ落とし、本来の美しさを引き出している真っ最中です。
そして、その「熱」が誰かのため、社会のためのエネルギーにつながることがとても大切なんだろうと思います。