【第1回】私の中に眠る二つの力:シヴァとシャクティが織りなす宇宙
ヨガを深めていくと、インドの神様である「シヴァ」や「シャクティ」という名前を耳にすることがあります。
これらは単なる神話上の存在ではなく、実は私たち一人ひとりの体の中に備わっている「意識」と「エネルギー」の象徴です。
今回は、ヨガの最終目的とも言われる「心身の統合」を理解するために欠かせない、この二つの原理について解説します。
1. 頭頂に座す「シヴァ」:静かなる意識
シヴァ神は、ヨガの根本的な「意識」や「知恵」を象徴する男性原理です。人体においては、頭頂部(サハスラーラ・チャクラ)に位置していると考えられています。 シヴァは、揺れ動くことのない静かな観察者のような存在です。私たちが深い瞑想に入り、思考が静まり返ったときに触れることができる「純粋な意識」そのものです。
2. 基底部に眠る「シャクティ」:躍動するエネルギー
一方で、シャクティ女神は「力」や「創造」を象徴する女性原理です。人体においては、脊椎の基底部(ムーラダーラ・チャクラ)に位置しています。 シャクティは、この世界を動かし、形作るための根源的なエネルギーです。しかし、通常このエネルギーは、脊椎の根元で「クンダリニー」と呼ばれる、とぐろを巻いて眠る蛇の姿で潜在していると言われています。

3. 分離が生む「迷い」と「二元性」
日常の私たちは、この頭頂の「意識(シヴァ)」と根元の「エネルギー(シャクティ)」が上下に切り離された状態にあります。 この分離こそが、自分と他者を分け、損得や好き嫌いに一喜一憂する「二元的な迷い」の世界を生み出す原因であるとヨガでは考えます。
4. ヨガの旅は「再統合」のプロセス
ヨガ(Yoga)という言葉の語源には「つなぐ」という意味があります。 離れ離れになっているシヴァとシャクティを再び結びつけ、本来の調和した姿に戻していくこと。これこそが、私たちがマットの上でポーズをとり、呼吸を整える真の目的なのです。
次回は、この眠れるエネルギー「クンダリニー」がどのように目覚め、頭頂へと昇っていくのか、その具体的なプロセスについてお話しします。