あなたの生きている今日は尊き今かもしれない
今回のコラムは、昔は当たり前だったはずの日常について、少しお話ししたいと思います。
私が小さい頃、特に夏の夜は、夕立が降った後などは涼しくて、窓を開けたまま寝ることはよくありました。
トトロの一場面のように、蚊帳を張って、眠りについたことも、よく覚えています。

そうすると、夏の夜風を感じながら眠ったり、季節が進むと聞こえてくる虫の声に耳を澄ませたり…。季節の移り変わりを、外から聞こえてくる音や風、匂いで感じることができたんですよね。
そんな風に、かつては私たちの日常が、自然と共にあることを実感できていたように思います。
でも、今はどうでしょう。夏はあまりにも暑すぎて、夜でも窓を開けて寝ることはできず、エアコンをつけなければ寝苦しくて眠れない日も少なくありません。
本当に、大きく変わってしまったなと感じます。
私が特に変化を感じるのは、食べ物です。大好きだったサンマが、なかなか食べられなくなってしまいました。もちろん、季節や海面水温の上昇だけが原因ではないのかもしれません。でも、それまで当たり前にあったことが失われつつある、という現実は、確かにそこにあります。
もしこれが、私が今住んでいる山梨での話だったら、と想像してみてください。この時期になると、山梨では桃や、もう少しするとぶどうといった、それはそれは美味しい果物がたくさん実ります。そして私たちは、その自然の恵みを、本当に贅沢にいただくことができるんです。誰かが丹精込めて作った果物を「これどうぞ」といただいたり、その美味しさに「あぁ、幸せだなぁ」と感じたり…。味覚を通して夏を感じ、幸せを噛みしめる。そんな当たり前の日常も、この猛烈な暑さの中で、少しずつ失われていっているのかもしれないと思うと、本当に、自然の恵みの尊さを感じずにはいられません。
だからこそ、私たちは、もっとありがたくいただくという気持ちを大切にしなければいけないと思います。そして、今すぐこの気温を下げることは難しいかもしれませんが、もしも私たちのちょっとした心掛けで、この状況を少しでも改善できる可能性があるのなら、その小さな望みを信じて、私たちにできる働きかけを続けていきたい、そう強く思います。
私たちの暮らしは、地球という大きな存在の恩恵の上でしか成り立ちません。そのことを、私たちは決して忘れてはいけないのだと思います。
ヨガの哲学の中にも、「自然の摂理を理解する」という教えがあります。私たちは、目には見えない大きな力によって動かされ、生かされている。誰がこの地球を動かし、どんな力が働いているのか、本当のところは誰にも分かりません。でも、ヨガでは、その「誰にも分からないけれど、確かに働いている大きな力」の存在を認め、それを「イーシュワラ・プラニダーナ」と呼びます。
この「イーシュワラ・プラニダーナ」、つまり自然の摂理を理解し、その大いなる力に敬意を払うことが、私たちにとって大切なことなのだと、ヨガは教えてくれています。
この厳しい暑さの中で、体調管理が難しくなったり、「夏ってこんなにしんどかったっけ?」と感じている方も、きっと多いことでしょう。そして、この先、夏はもっともっと暑くなると言われています。

だからこそ私たちは、去年の自分よりも今年の自分、そして今年の自分よりも来年の自分、と、この暑さに負けない体を作っていかなければなりません。以前にも増して、自分自身の健康に気を配り、そのための対策という知恵を身につけていく必要があります。
もしこれを読んでいるあなたが今、ヨガを続けているのなら、ぜひそのヨガを、健康を支える一つの柱として、これからも大切に続けていってください。
そして、まだヨガを経験したことがないという方は、ぜひこの機会に、ご自身の健康を維持するための対策の一つとして、ヨガを日常に取り入れてみてはいかがでしょうか。