自分に優しさを与えるヨガ哲学
そもそも、ヨガには哲学があるということを知らない方もいらっしゃいます。
ヨガが近年、美容やエクササイズとして流行したためかもしれませんね。
ヨガとは5000年ほど前から続く、ある「人生とは?生きるとは?」「どう考えたら幸せか?どうやったら執着を手放せるか?」という哲学です。
その哲学の中に、どういう考え方で生きたら幸せかな?それは心を止滅させるのがいいねってことで、呼吸はこんな風にやったほうがいいよね、とか、体はこんな風に扱ったらいいよね、とか、私たちの体にはエネルギーが流れているよね、などといった止滅させるにはどうしたらいいかという方法が教えとしてあるわけです。
そしてその哲学の中には、心の止滅のためにやったほうがいいよね、ということと、やってはいけないよね、ということが定められています。
やってはいけないこと・・・アヒンサー(非暴力)
このコラムでは、やってはいけないことの一番目に定義されている『アヒンサー(非暴力)』についてお話したいと思います。
この、『アヒンサー(非暴力)』、言葉だけ見ると、暴力をふるわないという意味ですね。
ただ、この言葉はもっと多くの意味を含んでいます。
暴力をふるわないというのは、傷つけないということです。
つまり、暴力的に誰かを傷つけるなということもそうですが、言葉でも行動でも誰かを傷つけてはいけないよ、ということなんです。
さらにもっと言うと、これは、対相手だけでなく、自分も傷つけてはいけないということなんです。
自分の選んだ行動で、自分を傷つけてはいけない。
もしも今の置かれている状況が自分を傷つける状況にあるなら、それを改善しなくてはいけないんです。
いつでも自分に優しくあるために。
自分に対して厳しさに意味があるなら、もしくはその厳しさが後の自分への優しさや目標達成につながるなら時に厳しさがあってもいい。
でも、そうじゃないなら、今自分を傷つける何かから離れなさい、ということです。
だから、私が常々、レッスン中に「無理をしない、アーサナ(ポーズ)は安定していて快適であることを求めて」と言うのです。
自分を傷つけてはいけないから、無理をしたらダメなんです。
それはもうヨガではないんです。
誰とも競争しない、誰とも比べない、今の自分のありのままを感じるのがヨガです。
無理をするというのは、今の快適な自分を受け入れていないとも言えますよね。
私たちは社会の中で、誰かと比べたり、ジャッジしたり、時に傷つけられたりします。もう充分すぎるくらい周りに意識をむけて自分を認識しています。
ぜひヨガの時間はどの社会にも属さない、ありのままの自分に優しく過ごしましょう。
これを読んでくださっているまだヨガをやったことのない方、この考え方を日々の暮らしの中で活かしてみて、自分を傷つけない選択をあえてしてみてください。
これを読んでくださっている生徒さん、次回のレッスンはよりアヒンサーを意識してみてください。
ヨガをやっている方も、そうでない方も、ヨガの教えはあなたを傷つけないし、優しい時間を与えてくれるはずです。