修了式で答辞を読ませていただきました。
先日行われた修了式では、卒業生を代表して答辞を読み上げるという大役を務めさせていただきました。
今回のコラムでは、その答辞を掲載したいと思います。

答辞
秋風が心地よく感じられる今日、私たちのためにこのような晴れやかな修了式を挙行していただき、心より感謝申し上げます。
また、教職員の皆様に、ご臨席いただく中で修了式に参加できることを厚く御礼申し上げます。
大学院では、密教概論や秘密事相、仏伝、スピリチュアルケアなど、密教について様々な角度から学ぶ機会をいただきました。ヨーガのインストラクターとして活動する中で、より深い学問的な探求を求めて入学した私にとって、そのどれもが興味深く、大変大きな学びとなりました。
特に、在学中に私の父が亡くなるという、人生で最も深い悲しみを経験しました。しかし、この大学院での仏教の学びが、その苦難を乗り越えるための大きな支えとなりました。
修士論文で『ヨーガ・スートラが密教経典へ与えた影響』という論題で研究を深めるにつれ、「ヨーガ・スートラ」が説く、自らの心のコントロールを追求する自利の思想が、いかにして密教の教えへと昇華されていったのかを明らかにすることができました。そして、そこで私が何よりも強く感じたのは、密教が説く「利他の思想」の壮大さでした。
自己の完成だけを目的とするのではなく、他者への慈悲を根源とし、すべての存在の救済を目指すというこの教えは、私自身の視野を大きく広げ、利他の精神こそが、さまざまな問題を抱える現代社会の解決の糸口になるという確信を与えてくれました。
今後は、この大学院で得た智慧と他者への慈悲の心を、社会へと還元していくことに使命感を持ち、私自身もさらに学びを追究していく所存です。高野山が掲げる「活かせいのち」という言葉を胸に、この学びを具体的な行動へと活かしていきたいと思います。
最後になりましたが、今日という日を迎えるまでご指導くださった先生方、様々な方面でご支援くださった職員の方々、そして、ともに支え合い、励まし合った仲間、全てに心からの感謝を申し上げ、答辞とさせていただきます。
大役を終えて
100人の前でレッスンをしても緊張しない私ですが、この時は、スーツという着なれない恰好をして、答辞を読むなどという大役で、すごーーく緊張しました。w
手が震えて笑えましたね。。。

私がヨガの指導をする上で最も大切にしているモットーは、「一人でも多く、ヨガで笑顔を増やす」というものです。生徒さんがヨガの効果を実感してくれたり、喜んでくれたり、笑顔になってくれる瞬間を目にすることが、私にとっても深い喜びであり、やりがいとなっています。
大学院で「利他」の思想を深く学んだことで、私の中でこの想いはさらに確固たるものとなりました。私はヨガを通して、単に身体を動かすことだけでなく、生徒さん一人ひとりの心身が健やかになるようサポートしたいと思っています。
私にとって、ヨガの指導は、身体的なアプローチを通して、生徒さんが自分自身の内側にある「強さ」や「優しさ」に気づき、より自分らしく、心豊かに生きるための「伴走者」であり、「ガイド」であるようなものだと感じています 。
この道で、自分の専門性を活かし、目の前の人々に直接的に貢献できることに、大きな喜びと意義を感じています 。
答辞を読むという大役を経験し、その経験に恥じぬように、ここをスタートとしてまた生徒の皆さんとヨガの時間を大切にしていきたいと思います。