更年期や自律神経の乱れ。人生の転換期にこそ必要な「中道のヨガ」
40代、50代と年齢を重ねる中で、これまで感じたことのないような疲れや、自律神経の乱れ、更年期特有の不調に戸惑いを感じている方は多いのではないでしょうか。

「頑張りたいのに、体がついてこない」。
そんな「いざという時」の葛藤こそ、ヨガの智慧が最も輝く場面です。
釈尊が選んだ「穏やかな道」
仏教の開祖である釈尊(ブッダ)も、かつては死の一歩手前まで自分を追い込む過酷な苦行を行いました。しかし、どれほど肉体を痛めつけても、一時的に欲求が抑えられるだけで、根本的な苦しみの解決には至らないことに気づき、最終的にその極端なやり方を捨てました。
そこで選んだのが、極端を避ける「中道(ちゅうどう)」であり、静かな瞑想でした。
人生の転換期にある私たちの体も、同じです。
かつてのように無理を重ねたり、ハードな運動で自分を追い込んだりする時期は、過ぎているのかもしれません。
ヨガには、体内の根源的なエネルギーを呼び覚ます「クンダリニー・ヨーガ」という流派がありますが、エネルギーが不安定な時期には、生死をさまようような激しい行いではなく、穏やかで調和のとれた実践が必要であるとされています。
クンダリニーとは、脊椎の基底部(一番下)に眠っている強力なエネルギーのことですが、これを目覚めさせ、上昇させる過程では「穏やかさ」が何より大切なのです。
心を静め、ありのままに見つめる時間
釈尊が過酷な苦行を捨てた後に進んだのが、「止(サマタ)」と「観(ヴィパッサナー)」の実践です。
「止」とは、激しく揺れ動く波のような心を静めること。そして「観」とは、自分の状態をありのままに観察することです。
ヨガの哲学では、私たちの頭頂部には「シヴァ神(純粋な意識)」が座していると考えられています。
日常の忙しさや不調に振り回されているとき、私たちはこの静かな意識から切り離され、心の中が混乱してしまいます。
yogaschoolTSUNAGUでは、その日の生徒さんの様子を拝見し、必要であれば直前でもレッスン内容を変えることがあります。それは、ヨガがインストラクターのやりたいことを提供する場ではなく、生徒さんの「今の在り方」に寄り添うための場所だからです。
自律神経が乱れているときこそ、マットの上でまずは心を静め(止)、今の呼吸や体の感覚をありのままに見つめて(観)みてください。外側の混乱から離れ、自分自身の中心にある静かな意識(シヴァの座)に立ち返る時間を持ちます。
「ああ、今日は少し呼吸が浅いな」「今日は右肩が重いな」。
そんな小さな気づきを得るだけで、私たちの脳は安心を取り戻し、リラックスのスイッチ(副交感神経)が入っていきます。
ポーズの完成を目指すのではなく、自分自身を慈しみ、大切に扱うこと。
その結果として、自律神経のバランスは自然と整い始めます。
不調をただの「悪いもの」として排除するのではなく、それを通じて自分自身を深く学び、人生をより軽やかに、彩り豊かにしていく。
そんな誠実なヨガの時間を、共に分かち合えることを楽しみにしています。